残酷なライヴハンドピッキング
スウェーデンのドキュメンタリー番組「カラファクタ」が、EUで本来は禁止されているグースのライヴ・ハンド・ピッキングの実態をレポートしました(放送日2009年2月1日)。カラファクタ
世界の3大ダウン生産国はハンガリーとポーランド、そして中国。
番組のレポートではEU圏ハンガリーの生産業者を取材していました。バイヤーと身分を偽った取材班が隠しカメラで捉えた映像は、
グースたちがキーキーとなきさけぶ中、ばりばりと全身の羽をむしりとり、裂けた皮膚を麻酔なしで太い針で縫ってます。羽をむしりとられたあとでも、逃げるために走り去る元気が残っているグースもいれば、ピクピクと痙攣しながらうずくまってるグースもいます。そのまま死ぬグースもいるでしょう。
さらに、レバーを効率よく生産するため、強制的にホースを鳥の口に突っ込み、特殊な栄養を与えていました。取材者(偽バイヤー)の前で、と殺して(首を引っこ抜いて)異常に大きくなった内蔵を見せていました。
ダウンの需要があまりにも高く、と殺した鳥からダウンを採取するのでは間に合わないのだそうです。また、より質の高いダウンをとるにはと殺後よりもライヴ・ピッキングのほうがよいそうです。
効率よくダウンを生産するため、生きているグースから全身の羽をむしりとり、羽が生え揃ってきたらまた採取、それが5回ほど繰り返され、そしてと殺されるそうです。EUでは禁止されているにもかかわらず、ライヴ・ハンド・ピッキングが多く実施され、ライヴピッキングは生産量の50%とも90%ともいわれています。
1つのダウンジャケットには約70羽分の羽毛が使われているそうです。
「グースは賢い鳥で、もちろん痛みも感じるし、ああやってキーキーないているのは助けを呼んでいるのです」とは、カラファクタの番組内で取材映像を見た獣医のコメントです。
「グースを助けてなくては」
番組を見た多くの人がそう思ったんでしょうね。放送の反響はとても大きく、放送後から ひどい動物虐待だ! ダウンはもう買わない! 実態を知ることでができてよかった、レポートしてくれてありがとう! などとネットに書きこむ人もいっぱいいて、別のテレビ番組でも出演者たちがダウンを買うのを止めよう! って訴えたり、ニュースは番組の反響を街頭インタビューや有識者の見解などと一緒に伝えています。スウェーデンはこれをきっかけにライヴハンドピッキング・ダウンのボイコット運動となっていくでしょう。国としては禁止されているものが行われているということでEUに提訴するようです。
番組内で、その生産業者から経由した製品が納品されていると電話取材を受けていた「オレーンス」は、
放送の翌日2009年2月2日に全店の全ダウン製品を撤去、今後はと殺されたグースから採取されたダウンという保障がされるまではダウン製品を販売しないことを決定、希望する客にはダウン製品の返金に応じるそうです(レシートが必要)。
10年以上前は何万円もしていたダウンジャケット。ところが近年は低価格化が進み、ユニクロで出している「プレミアムダウン」シリーズは7900円前後という破格の安さ。このプレミアムダウンジャケットシリーズはダウンを90%も含む質の高さが売りで、毎年大ヒットしています。
一方、北欧のスウェーデンでは冬が長く、その気候的な条件から、以前からダウン製品は生活の中に普及していたようです。ダウンソックスやダウンのふとん、枕はたいていのお店の寝具売り場で見かけます。これらはグース80%の高品質ではなく、カモの羽毛も多く含まれたものが多いようです。寒い土地柄、ダウンジャケットも多くの人が着ています。私も着ています。
ダウンがお店で売られているから私たち消費者は買うのですが、買う人がいるからどんどんいっぱい製造して売ろうってことになるわけで、やっぱり消費者が買わなくなることが一番効果的です。買ってしまったダウンは今からどうすることもできませんが、今できることは、ダウン製品を買うの止めること。食用でと殺されたグースやカモから採取したと品質表示している信頼できるものしか買わない、メーカーが採取法を説明ができないダウン製品は買わないという態度をとること。
ダウンのことは、ライヴ・ハンド・ピッキングについてちょっと問題になってるとは薄々知っていたんです。でも、以前ダウン製品を売ってる日本の会社のサイトでダウンの製造を紹介していて、「手作業で優しく羽毛を採取します」などと書いてあったのを読み、その表現からはあんな残酷なものはぜんぜん想像していませんでした。広い牧場でのどかに羊の毛をバリカンで刈ってるのに似たものだと勝手に想像していました(もちろんその羊のほうも、蝿蛆症への対策として、牧羊業者たちは羊に 対し麻酔も使わずにミュールシングというお尻の肉をそぐ手術をやっているのが問題になってますが・・・)。
毛皮産業の残酷さはよく知られていますが、ダウンについてはあまり取り上げられることはないのではないかと思います。スウェーデンでもこの番組のレポート以前は同じでした。
スウェーデンのライヴハンドピッキング・ダウンのボイコットを広がりを伝えてみたいと思ってこのブログを始めてみました。
今私が持ってるダウン製品、去年買ったユニクロのプレミアムダウン、スウェーデンに引越してきたときにデパートで買ったスウェーデンブランドのダウンジャケット、
初めてスウェーデンにきたときにその寝心地に感動してホテルで分けてもらったホテル仕様のダウン枕、雑誌「エル・インテリア・スウェーデン版」の定期購読を申し込んだときに特典として送られてきたダウンソックス、など。これらをいったいどうしたらいいものか・・・。各メーカーにダウンの生産方法をメールで確認したいです。
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画像は番組カラファクタのサイトにあったものです。
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2009.02.03 | | コメント(15) | トラックバック(0) | ダウン告発番組
